個人輸入と業務輸入の相違点

1.輸入時の規制
 個人輸入の場合は、一定数量に限って、輸入規制の対象から外されますが、業務輸入の場合は規制の対象となります。

その主なものを以下述べてみましょう。
1)医薬品、化粧品や医療用具については、薬事法の規制による輸入・国内販売のための許可を取得する必要があります。
2)食品、食品添加物、食器、調理用具、容器包装および乳幼児の口等に接触するおもちゃ類については、食品等輸入届出書を提出すること並びにそれに伴う検査の手続きが必要となります。さらに、日本語の表示義務も発生してきます。

2.国内販売時の規制
 業務輸入の場合、日本国内で当該商品を販売するためには、商品によりさまざまな国内法に準拠する必要があります。以下、主な法律を挙げてみましょう。

1)家庭用品品質表示法
 以下の4業種分野の特定品目を指定して、成分・性能・用途など品質に関して表示すべき事項と表示方法などが取り決められており、消費者が商品の選択等に際し、品質を的確に識別できるようにしなければなりません。
イ)繊維製品品質表示規程、ロ)合成樹脂加工品品質表示規程、ハ)電気機械器具品質表示規程、ニ)雑貨工業品品質表示規程

2)電気用品安全法
 一般家庭等で使用される電気用品は、特に危険または障害の発生するおそれが多い特定電気用品と特定電気用品以外に分けてそれぞれの製造・輸入または販売に関して届け出義務を課されています。また特定電気用品には、第三者検査機関による技術基準適合の検査を受ける必要があり、特定電気用品以外には自己認証基準よる検査が必要とされています。

3)消費生活用製品安全法
 消費生活用品のうち、構造、材質、使用状況等から判断して、安全性について問題のある特定製品のうち、イ)「政府認証品目」:経済産業省令で定められた検査または形式承認が必要とされる品目(第1種特定製品)およびロ)「自己認証品目」:一定事項を届け出れば要件を満たす品目(第2種特定品目)があります。

3.製造物責任法
個人輸入の場合、製造物責任は輸入者個人のリスクに委ねられています。
一方、業務輸入の場合は、製造物責任法によれば、輸入者は当該商品の消費者ないしは使用者に対して、製造物責任を負うと定められています。従って、この責任を契約により輸出者に転嫁するなり、製造物責任保険を付保するなりして回避しておくことが必要です。