乗用自動車の輸入手続について

手続概要
 乗用自動車の輸入に関しては原則的には規制はない。しかし、引取り後に道路を走行するには、道路運送車両法に基づく諸手続が必要である。

輸入手続
1.関税分類関係
 輸送人員の数により、8702項と8703項に分類される。
(1)8702項は「10人以上の人員(運転手を含む。)の輸送用の自動車」と規定されているので運転手を入れて10人以上定員のバス型乗用自動車が分類される。分類例は次のとおりである。
1)バス、トロリーバスであって、乗用定員が10人以上のもの
2)自家用で定員が10人以上のマイクロバス
(2)8703項は「乗用自動車その他の自動車(主として人員の輸送用に設計したものに限るものとし、第8702項のものを除く。)」と規定されているので、運転手を数えて9人以下の定員の乗用自動車が分類される。この項にはステーションワゴン、レーシングカーも含まれる。
 なお、中古車とは、保税地域から引き取られる前に1年以上使用していたものをいう。

2.道路運送車両法関係
 車を実際に公道に走らせるには「道路運送車両法」に基づく車検、登録などの国内手続を経て、車両ナンバーを取得しなければならない。
(1)輸入者が代理店の場合
 輸入する車両が、道路運送車両法の保安基準に適合しているかどうかを型式ごとに事前に審査するのが、自動車認証制度であり、これには次の三種類がある。
1)型式指定制度
2)新型自動車届出制度
3)輸入車特別取扱制度

(2)個人輸入及び並行輸入の場合
 上記(1)の自動車認証制度は、個人輸入及び並行輸入には適用されないので、輸入通関の際に自動車通関証明書の交付を受け、保税地域から搬出して1台ごとに次の手続が必要となる。
1)保安基準を満たすよう排気ガス対策等の改善作業を整備工場等において行う。
2)国土交通省で認定した公的機関において、排出ガス試験等を行って、排ガス試験成績書の交付を受ける。
3)陸運事務所において車両検査を受けるために、次の書類が必要である。
 A.新規検査に伴う外国自動車の検査資料
 b.自動車通関証明書
 c.外国における登録書
 d.排ガス試験成績書
4)登録に必要な書類等の詳細については、最寄りの陸運局に問い合わせ願いたい。

3.エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)
乗用自動車は同法の対象機器となっており、省エネにかかる性能の向上やエネルギー消費効率に関する表示などが義務づけられている。

4.その他の留意事項
 (1)中古乗用自動車(海外から持ち帰りを含む)を輸入する場合、特定用途免税適用を受けるには、海外に1年以上在住し、かつ、通関の際に外国での自動車登録証、保険証、譲渡証明書等によって半年以上使用されていたものであることを証明する必要がある。
なお、半年以上使用されていたものであることの確認にあたっては、必要に応じ、使用状況について走行メーター等を確認する等により補完することとされている。
(2)業界自主規制として不当景品類及び不当表示防止法に基づき(社)自動車公正取引協議会では、「自動車業における表示に関する公正競争規約」を設け、新車・中古車の販売の際の表示等について自主規制している。

5.輸入通関関係
 「輸入(納税)申告書」にインボイス、B/L、保険明細書等の関係書類を添付して税関へ提出する。税関における審査・検査及び納税の後、輸入許可書が交付される。