ニューカッスルワクチンの事を調べていて幾つか興味深い論文を見つけました、

まず・・普段我々が使っている
B1株の生NDワクチンは飲水投与に向かない事が判りました、
飲水投与では満足な抗体価と持続性を得る事は出来ないとのこと。
飲水投与でも十分な効果を得る事が出来るアビVG/GAワクチンを発見!


左の3種がB1株生ワクチン、一番右がVG/GA株のアビ


B1株の生NDワクチンは安全性は高いものの抗体価や免疫の持続性に問題があるとの事、
確実性を持たせる為には点鼻点眼で・・繰り返し接種する事が大事
このワクチネーション・追加接種により
ブースター効果が得られる。


*抗体価とは、血清中に含まれる抗体のレベルを示すもので、血清を2倍ずつ希釈して行き、
どの希釈段階まで検出できるかをあらわした値

ブースター効果ワクチンを一回摂取後、もしくは一回軽い感染後、まず基礎免疫は得られる、
これにまた再び同種の感染症に軽くかかるか同種ワクチンを接種することで、免疫が増幅すること。




最近のニューカッスル病生ワクチン接種による抗体応答

家畜病性鑑定所 秦 守男

はじめに

 鶏ニューカッスル病(ND)予防のため,B1株を用いた生ワクチンが一般的に使用されてきました。B1株は弱毒株のなかでも免疫原性が高いうえ, 比較的安全性も高く,さまざまな接種方法で接種できる等野外での使用に適しています。しかし,免疫効果が持続しない,雛への接種時に移行抗体の影響を受け やすい等の問題点もこれまで指摘されていました。そこで,抗体応答が良好ということで近年発売されたVG/GA株,MET95株生ワクチンについて,ブロ イラーへの飲水投与試験を実施し,両株のND抗体価の推移を調査しました。

試験概要

 供試ワクチンは,VG/GA株については「アビVG/GA」(メリアル社)を,MET95株については「ND生ワクチン化血研“S”」(化血研) を使用しました。試験区分は各ワクチンとも1回投与群(16日齢:6羽ずつ),2回投与群(16日齢及び31日齢:6羽ずつ)を設定し,38日齢まで同一 個体を採血・継続観察しました。

結  果

 いずれの試験群も,従来のB1株より高い抗体価を示しており,128倍を超える個体も散見されました。(表1,2)
 投与前(16日齢)と投与後(38日齢)における移行抗体の影響を評価してみますと,いずれの株も投与前の抗体価がおおむね32倍以下では,移行抗体の影響を受けませんでした。(図1)

考  察

 VG/GA株及びMET95株は1回の飲水投与で充分な抗体応答を示すことからNDの発生防御に有効であると思われます。ただし,抗体価が3桁ま で上昇する個体も一部認められ,ND発生時には慎重な判断が求められます。そのため,日頃より農場のワクチン使用状況や抗体価を把握し,異常鶏の早期発見 に努めることが重要です。
 NDに限らず鶏病予防の第一は鶏を病原体から隔離することであり,ワクチン防御はあくまで二次的な手段です。発育不良や発熱,下痢等病気の徴候のある鶏 群,移動等のストレスを受けている鶏群,不適切な飼育環境下でのワクチンの取扱いは,十分な効果を発揮できないばかりか,逆に病気を誘発するおそれがあり ます。今一度使用上の注意を守り,適切なワクチン使用を心掛けましょう。


タイトル ブロイラーにおけるニューカッスル病のワクチネーションは1回で充分か
日時 平成14年12月20日(金)
場所 和歌山県民文化会館
講演会名 平成14年度和歌山県畜産技術業績発表会
発表者 紀南家畜保健衛生所 松田 基宏
要約                              紀南家畜保健衛生所
                             ○松田 基宏  上杉秀樹
(はじめに)
 ニューカッスル病(ND)は高い死亡率と感染力による被害が甚大であり、養鶏産業において重要視されている法定伝染病のひとつである。わが国では、ワク チン接種の徹底が図られているが、ここ数年、ワクチン接種歴のあるブロイラー、採卵鶏での発生が東日本を中心に各地でみられるようになり、防疫対策のより 一層の強化が求められている。そのような状況下、管内ブロイラー農家において、NDワクチン接種後も抗体価の上昇が認められない鶏群が多数あり、その原因 究明と良好なワクチン接種効果を得るためのワクチン接種時期について検討したのでその結果を報告する。
(方  法)
 @管内ブロイラー団地(3養鶏場)の協力を得て、入雛後6日から20日まで3〜4日間隔でNDHI抗体検査を実施し、雛の移行抗体の推移を調査した。
 A入雛後13日のNDHI抗体価(GM値、n=10)をもとに、発症防御ラインであるGM値5以上の鶏群は21日齢時に、GM値5未満の鶏群は14日齢 時にND生ワクチンを飲水投与し、41日齢(出荷2週間前)まで3〜4日間隔でNDHI抗体価の推移を調査した。
(結  果)
 @10日齢前後のワクチン接種では、雛のNDHI抗体価は充分に保持されなかった。
 A雛の移行抗体価は10日齢くらいまでは発症防御ラインGM 5を保持し、その後、高い群は20日齢くらいまで、低い群は14〜17日齢くらいまで緩徐 に減少した。このことより、従来のワクチンプログラムによる早期の雛へのワクチン接種は、移行抗体がかなり残存しており、その効果を損なう可能性が伺え た。
 B13日齢の移行抗体価がGM 2.1であった鶏群は、14日齢時にND生ワクチンを飲水投与したところ、投与7日後GM 3.7、13日後GM 7.4、20日後GM 9.1、27日後GM 8.5と緩徐に上昇しワクチン接種効果が充分認められた。
 C13日齢の移行抗体価がGM 6.0であった鶏群は、20日齢時(GM 4.0)にND生ワクチンを飲水投与したところ、投与7日後にはGM 2.8 と若干減少したが、13日後GM 10.5、20日後GM12.0と緩徐に上昇しワクチン接種効果が充分認められた。
(考  察)
 以上のことより、種鶏へのオイルワクチン接種の場合など、雛の移行抗体が高く保たれている場合、従来のワクチンプログラムでは、雛へ生ワクチンウイルス が定着しない可能性が高いことが分かった。移行抗体をチェックしながらワクチンプログラムを再考するか、種鶏へのオイルワクチン接種を控えるか、早急に対 策を講じる必要があると考える。